2.3 ヒアリング調査

 我が国の脳・神経科学分野において、Neuroinformaticsに関する研究者が、どのような資源を有しているのか、また、どのようなニーズや課題を抱えているのかの現況を把握するため、国内の主要な研究者についてヒアリング調査を行った。対象とした研究者は、理化学研究所脳科学総合研究センター(以下理研BSI)のグループディレクタ、チームリーダ、及びWeb調査、文献調査により選出された研究者である。
 ヒアリング調査の結果については、研究者が必要と考えているNeuroinformatics資源、保有しているNeuroinformatics資源、及び資源となりうるものについて整理した。また、この他、Neuroinformatics発展のための課題についても整理した。なお、調査対象分野については、脳・神経科学分野全体を網羅するように行った。

2.3.1 ヒアリング対象者
 理研BSI19名、その他21名の合計40名の研究者にヒアリングを行った。ヒアリング対象者リストを以下に示す。

No 研 究 者 名 所属機関
1 森  憲作 理化学研究所脳科学総合研究センター
ニューロン機能研究グループ機能分子研究
2 吉原 良浩 理化学研究所脳科学総合研究センター
ニューロン機能研究グループシナプス分子機構研究
3 矢野 良治 理化学研究所脳科学総合研究センター
ニューロン機能研究グループ細胞内情報研究
4 Takao K. Hensch 理化学研究所脳科学総合研究センター
ニューロン機能研究グループ神経回路発達研究
5 二木 宏明 理化学研究所脳科学総合研究センター
神経回路メカニズム研究グループ情動機構研究
6 田中 啓治 理化学研究所脳科学総合研究センター
認知脳科学研究グループ認知機能表現研究
7 谷藤 学 理化学研究所脳科学総合研究センター
認知脳科学研究グループ脳統合機能研究
8 Andreas A.Ioannidess 理化学研究所脳科学総合研究センター
認知脳科学研究グループ脳機能ダイナミクス研究
9 Thomas Knopfel 理化学研究所脳科学総合研究センター
神経回路メカニズム研究グループ神経回路ダイナミクス研究
10 西道 隆臣 理化学研究所脳科学総合研究センター
神経回路メカニズム研究グループ神経蛋白制御研究
11 岡本 仁 理化学研究所脳科学総合研究センター
発生・分化研究グループ発生遺伝子抑制研究
12 貫名 信行 理化学研究所脳科学総合研究センター
病因遺伝子研究グループCAGリピート病研究
13 山川 和弘 理化学研究所脳科学総合研究センター
病因遺伝子研究グループCAGリピート病研究
14 高島 明彦 理化学研究所脳科学総合研究センター
病因遺伝子研究グループアルツハイマー病研究
15 Jurij Brankack 理化学研究所脳科学総合研究センター
脳型デバイス・ブレインウェイ研究グループ脳創成表現研究
16 市川 道教 理化学研究所脳科学総合研究センター
脳型デバイス・ブレインウェイ研究グループ脳創成デバイス研究
17 Andrzej.Cichocki 理化学研究所脳科学総合研究センター
脳型情報システム研究グループ開放型脳システム研究
18 田中 繁 理化学研究所脳科学総合研究センター
脳型情報システム研究グループ脳回路モデル研究
19 端川 勉 理化学研究所脳科学総合研究センター
先端技術開発センター神経開発機構
20 小松 英彦 岡崎国立共同研究機構 生理学研究所
生体調節研究系 高次神経性調節研究部門
21 河野 憲二 通商産業省 工業技術院 電子技術総合研究所 脳機能ラボ
22 飯島 敏夫 通商産業省 工業技術院 電子技術総合研究所
脳機能イメージングラボ
23 藤田 昌彦 郵政省 通信総合研究所
情報通信部 人間情報研究室
24 宮内 哲 郵政省 通信総合研究所 関西先端研究センター
知覚機構研究室 脳機能研究グループ
25 澤井 秀文 郵政省 通信総合研究所関 西先端研究センター
知覚機構研究室 脳機能研究グループ
26 川人 光男 ATR人間情報通信研究所 第3研究室
27 外山 敬介 京都府立医科大学 医学部第二生理学教室
28 塚田 稔 玉川大学工学部 
情報通信工学科 生体情報工学研究室
29 木村 實 大阪大学 健康体育部 身体文化学
30 吉澤 修治 東京大学
大学院工学系研究科 機械情報工学専攻
31 丹治 順 東北大学
医学部 生体システム生理学講座(旧生理学第二講座)
32 小野 武年 富山医科薬科大学
医学部 第二生理学教室
33 西条 寿夫 富山医科薬科大学
医学部 第二生理学教室
34 臼井 支朗 豊橋技術科学大学
工学部 情報工学系 BPEL(生体・神経情報工学研究室)
35 神山 斉己 愛知県立大学
情報科学部 情報システム学科
36 福田 寛 東北大学 加齢医学研究所
加齢脳・神経研究部門 機能画像研究分野
37 福山 秀直 京都大学
大学院医学研究科 脳病態生理学講座・臨床脳生理学
38 伊藤 啓 基礎生物学研究所
細胞増殖研究部門
39 宮川 博義 東京薬科大学
生命科学部 分子生命化学科 生体高次機能学研究室
40 菅原 秀明 国立遺伝学研究所
生命情報研究センター

 ヒアリング対象者の研究分野を1.4.4で想定した枠組みに当てはめると以下のようになる。理研BSIに所属している研究者は実線で囲んでおり、それ以外の研究機関に所属している研究者については点線で囲んでいる。

(1)高次機能レベルで研究を行っている研究者

1
1 高次機能レベルでの研究しているヒアリング対象研究者

(2) 細胞レベルで研究を行っている研究者

2
2 細胞レベルでの研究しているヒアリング対象研究者

(3) 分子レベルで研究を行っている研究者

3
3 分子レベルでの研究しているヒアリング対象研究者

(4) 遺伝子レベルで研究を行っている研究者

4
4 遺伝子レベルでの研究しているヒアリング対象研究者

2.3.2 Neuroinformatics資源のニーズ
 ヒアリング調査により明らかになった研究者が要望しているNeuroinformatics資源(及び、関連ニーズ)を以下に示す。

(1) 理化学研究所BSI内

(a) データベースへの要望
① 画像DB

② 機能マップ、多様な情報のリンク

なお、病態データや実験データ等には、次のようなニーズもある。

③ 資源の共有・標準化

(b) ツールへの要望
① ツール

(c) 研究関連情報に関する要望
① 論文

② 研究者情報

③ 個人のニーズに合った情報検索の支援

④ 最新データの入手

⑤ 論文執筆支援

(d) その他の要望
① 装置等

(2) 理化学研究所外

(a) データベースへの要望
① 画像DB

② 機能マップ、多様な情報のリンク

③ 資源の共有・標準化

(b) ツールへの要望
① ツール

(c) 研究関連情報に関する要望
① 論文

② 研究者情報

③ 個人のニーズに合った情報検索の支援

(d) その他の要望
① 装置等

1.1.3  Neuroinformatics資源のシーズ
 ヒアリング調査の結果、すでに公開されているNeuroinformatics資源は、まだ少ないことが示された。ここでは、すでに公開されている資源の他、資源として公開可能性のあるシーズをまとめた。
ヒアリング調査から得られた理化学研究所におけるシーズを下表に示す。研究者の所有する電子データを、①DB、②ツール、③実験データ、④装置の4種類に分類した。さらに実験データは、その種類別に画像データ(fMRI等の画像、光学顕微鏡・CCDカメラ等で撮影した画像、光計測装置による画像)、数値データ(微小顕微鏡法、脳波データ、塩基配列・化学反応データ)、その他(脳型コンピュータ等)に分類した。データ保有状況を○印で示した。

(1) 理化学研究所内のシーズ

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